木村伊兵衛 －幸福な記念写真－

高浜市やきものの里かわら美術館では、開館当初から瓦屋根のある風景をとらえた作品を中心に写真作品の収集を進めてまいりました。現在では、写真の黎明期から現代まで、国内外の写真家による約200点を収蔵しています。
本展ではこの中から、日本の代表的な写真家のひとりである木村伊兵衛の写真作品を取り上げます。1901年に東京の下町で生まれた木村伊兵衛は、戦前／戦後を通じて、日本の写真界の中心のひとりとして、写真表現の近代化に重要な役割を果たしました。報道／宣伝写真、肖像／風景写真などさまざまな分野で多くの傑作を残した木村は、小型カメラでのスナップショットを得意とし、人間の息づかいやさりげない日常の場面を、自然でストレートなまなざしによって表現しました。
今回は当館が所蔵する木村伊兵衛の全作品、パリシリーズ23点、歌舞伎シリーズ10点を展示いたします。街角の生き生きとした光景を軽やかに写し取り、街の空気や人々の生活が溶け込んでいるようなパリシリーズ。舞台裏にまで入り込み、演技に身をゆだねながら自然にシャッターを押した歌舞伎シリーズ。“昭和の巨匠”木村伊兵衛の妙技とその魅力をお楽しみください。